4.原則と基準
ミネアポリスのスカイウェイブリッジ設計基準の主なものは次の9点である。
@ 通路幅は最低12フィート(約3.7m)であること
(但し、駐車場に連結する場合は20フィート(約6.1m)以上であること)
A 内法高さは最低8フィート(2.4m)であること
B 暖房・空調を行い十分な照明を施すこと
C 出来る限りガラスを使用すること
D 中庭や室内通路を設けて、グランドレベルとの有機的な結合を図ること
E 室内通路にオープンスペースを配置すること
F 標識を要所要所に配置すること
G 街路から直接つながる場合は入口の表示をすること
H 出来る限り地表レベルとの機能分担を図ること
なお、これらの内容を受けてさらに細かな指針が作られており、その主な項目は次の5点である
@ 連続性
A 利便性
B 安全性
C 快適性
D 娯楽性
5.財源
スカイウェイを単なるブリッジだけで終わらせるのではなくネットワークまで達成するためには大きな財源が必要となる。しかし、メネアポリスの場合、ダウンタウンの中心部のスカイウェイ建設はほとんど民間によって行なわれて来た。公共、いわゆるミネアポリス市はスカイウェイを進めるに当たって、建設以外の面で積極的に協力し、「公共と民間のパートナー・シップ」とまで言われるほどになった。中心部の活力のある地域においてはスカイウェイを造るために必要な費用を取り戻すだけの費用効果はある。しかし、周辺部の低密度の部分にまで広げる場合、それらの費用を全て民間で賄わせるには自ずと無理が生じて来る。スカイウェイの導入の目的はダウンタウン全体をネットワークすることであって中心部だけではない。そこでそれを推進するための財源を何らかの方法で作る必要がある。今後、スカイウェイを推進するために必要とする資金の使い道としては次の3点である。
@ ブリッジの建設費
A 既設建物等の改造費
B 維持管理費
一方、資金源として考えられるのは次の3点である。
@ 連邦政府からの補助金
A 再開発後の固定資産税の増額分
B 市がブリッジを建設によって恩恵を被ったところから徴収する受益課税金
@については可能性としては低く、A、Bを十分検討する必要がある。市はBによる資金をブリッジ等の建設資金に、又、Aによる資金を維持管理費に当てようと考えている。カナダのカルガリーでもやはり現実の問題として、スカイウエイシステムネットワークを実現していくためには資金源も大きく取り上げられている。カルガリーの場合は最初の段階からミネアポリスにおけるBの受益課税金と同様の資金源として「プラス15建設分担金規定」(カルガリーのスカイウェイシステムは別名プラス15とも言う)を設けスカイウェイネットワークを作ることによって得た恩恵として、それに関連する建築主から分担金を徴収している。この徴収された資金でプラス15基金が設けられプラス15の拡大のための資金源として使われる。しかし、このプラス15基金だけではプラス15拡大のための資金を全て賄うことが難しいことから、カルガリーではプラス15を推進するために、容積率のボーナス制度を併用することにより、出来る限りブリッジやLane Linksの建設を民間に建設させようというアイデアを打ち出している。これは、スカイウェイシステムの推進に大きく貢献したのであるが、その逆にダウンタウン中心部の異常なまでの高層化となった。
ミネアポリスの場合、スカイウェイの建設は民間が行なうということで進められ、結果として、現在までほとんど民間の手で行なわれて来た。しかし、今後、このネットワークをさらにダウンタウンの周辺部まで発展させるためには、費用効果だけで民間に頼ることは大変難しいと言わざるをえない。従って、上記のような新しい資金源を考える必要がある。
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