● 基本データ算出
図−8の基本形を基に算出するBridges の幅員は15フィート、長さ80フィートとし、Lane Linksの幅員も15フィート、長さ20フィートとする。それぞれの単位面積当りの単価は$225と$148.50
になっている。
@ その地区のプラス15建設費 = C
4,1/2 Bridges =4×1/2×15’×80’×$225=$540,000
3 Lane Links =3×15'×20'×$148.50 =$133,650
Total
=$673,650
A 敷地面積 =SA=250'×130' = 32,500(平方フィート)
B 地区面積 =BA=500'×(280'-20')
= 130,000(平方フィート)
これらの基本データを(1)式に代入してプラス15建設分担額を算出すると次のようになる。
C =$673,650 BD =7倍
SA= 32,500
DD =9倍
BA= 130,000
DD*=7倍
X =[$673,650×32,500/13000{( 0.75× 7/7)+0.25}]
X =[$673,650×0.25{(0.75×1)+0.25}]
X =$168,413
この例の場合、この地区の基本容積率は7倍であるのに実際の建物の容積率は9倍になっている(ボーナス付き)。
しかし、分担額算定の場合は7倍として計算され、結果的に168,413
カナダドルを市に納めることになる。
次に、この地区の基本容積率よりも実際の建物の容積率が低い場合を例としてあげる。
C =$673,650
BD =7倍
SA= 32,500
DD =4倍
BA= 130,000
DD*=4倍
X =[$673,650×32,500/13000{( 0.75× 4/7)+0.25}]
X =[$673,650×0.25{(0.428+0.25}]
X =[$168,413×0.678]
X =$114,184
● 変形式
これは新築に対してではなく既設の増築に対して追加分として採用され、次の式となる。
X=[C×SA/BA{(0.75×(DND*−DED*)/BD}]−−−−(2)式
X : プラス15建設分担額
C : 標準地区の建設費
SA : 開発敷地面積
BA : 開発地区面積
DND*: 新実施開発容積率 (BDをこえる場合はDND*=BD)
DED*: 既設開発部分の容積率(BDをこえる場合はDED*=BD)
BD : 基本容積率 (ボーナス無しの許容最大容積率)
この式は、前述の式を見れば分かるように二重に徴収されるのを防ぐために敷地に対して固定の額である0. 25 が落ちている。
C =$673,650 DED =3倍(既設開発部分の実質容積率)
SA = 32,500 DED*=3倍
BA = 130,000
BD =7倍
DND =9倍(新実施開発実質容積率)
DND*=7倍
X=[$673,650×32,500/13000{(0.75×(7-3)/7)]
X=[$168,414×0.428]
X=$72,081
7.システム運営
@ 通行権等
プラス15システムを実施するにあたっては民地に公共空地や公共歩廊を設けられることになるが、この部分については通行権等が設定される。
A 治安維持
公共部分への巡回はカルガリー警察の責任で行なわれるが、一階レベルの保安と同様にプラス15に隣接している民間部分の安全についてはそれそれの責任である。
現実には、このスカイウェイシステムは良い面だけではない。車中心社会の中でのダウンタウンにおける歩行者空間ネットワークとしては大変に便利で快適なものである。しかし、その便利さ、快適さと表裏一体をなすものの一つに治安の問題がある。このネットワークの歩廊(Walkways)に隣接している銀行にとってはその警備が大変大きな問題となる。カルガリーでは、地上レベル、+15レベル、+30レベルのそれぞれのレベルでは機能分担が完全になされているため、+15レベルでは銀行は見つからないが、空間的には+15レベルと地上レベルは自由につながっているため、+15内での通行を自由にすることにより治安が大きな問題になってくる。写−15は、地上レベルに銀行があり、ガードマン(ウーマン?)が監視していた。銀行とは知らずに写真を撮ったら怒られてしまった。また、写−16のように、各店舗の内部は一晩中明りをつけたままにして、歩廊側に格子状のシャッターを付設しており、治安維持に務めながら景観にも配慮している様子が分かる。全体的には、店舗内部は電灯をつけっぱなしにしていると考えた方が良い。
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