カルガリースカイウェイ(プラス15)システム
produced by eiji tanaka in 1988
1.幻想的な街カルガリー

 ジェット機で空港に降りてダウンタウンに向かうと周辺は広々とした空間が広がりいかにもカナダであるという実感がわいてくる。こういったイメージが頭の中に作られていく間に車はダウンタウンに近づいて来る。すると突然、別世界に来たような感じになり、一瞬、頭の中の過去の記憶がなくなる(写−1、2)。そこには、建築家にとっては、一見羨ましいかぎりの自由な高層ビルが建ち並んでいる。一般的な都市なら、ダウンタウンに向かうと徐々に高層建物が現れ、ダウンタウンの中心部に入る前にはその心構えができているものである。しかし、このカルガリー市は、心の準備無しに突如としてガラスをふんだんに使った高層建物郡の姿が現れるのである。
 
写−1 写−2
 
2.スカイウェイ(プラス15)システムの成立

 カルガリーのダウンタウン(図−1)は、ボー川とエルボー川で囲まれたところに位置し、おおよそ1km四方の中にコンパクトにまとめられている。ここには、世界的にも大変有名になった歩行者のためのスカイウェイシステムが実施されている。このシステムが採用された理由は1960年に始まるが、石油産業全盛時代での都市人口と交通量の急激な増加(図−2)と道路幅員等の諸条件も加わって、ダウンタウン内では、交通渋滞の解消と歩行者の安全確保が最大の行政課題となっていたわけである。そこで考えられた案がC−Train方式とスカイウェイシステムである。C−Train(写−3)は、L.R.T.とも呼ばれダウンタウンから車を締め出すために考えられたものである。郊外に大規模駐車場を設けておき、そこでC−Trainに乗り継いでダウンタウンには人だけが運ばれて来る。なお、ダウンタウン内の直線コースについては運賃は無料である。直線コースを過ぎてしまうと料金が必要になる。しかし、日本にあるようなチェックのための改札口らしきものは特に無く、日本人的感覚なら無料でどこまでも乗ることは可能である。しかし、そのような行動をしている人はカルガリーでは見られなかった。
 
図−1 図−2
 
  歩行者の安全確保のもう一つの方法がスカイウェイシステム、別名プラス15システムであった。1970年代の初めに建設されたものはペディストリアンデッキのようなものであるが、1970年の半ばになると現在のような透明なガラスで覆われたものが現れ、初期の歩車分離による安全確保のためと言うよりは、むしろ、冬の風や寒さから隔離した快適な歩行者空間ネットワークを創ると言う意味合が強くなってくる。プラス15システムは、その名称のとおり地上より4.75 m(約15フィート)上空レベルを歩行者のための歩行ネットワークにしようとするものである。従って、道路で分断されているブロック間を結ぶためには、橋(Bridges) が必要となり、透明なカバーで覆われたBridges (写−4)が、都市景観上他の都市に比べて特徴づけられる。
 
写−3 写−4
 
 プラス15システム建設のためのガイドラインは、1976年に「+15 Must Policy」という形でまとめられ、プラス15システムに関する指針として一般に出回った。現在はこれを修正した形で「+15 Policy」が作られている。現在は、これらに土地利用法、アルバーター州建築法、あるいは、「+15 Hand Book」などが加わって運用されている。当初の指針と現在のものとは大きな違いは見られず、最大容積率やボーナス率等の値に違いが見られるくらいである。
  プラス15システムをダウンタウン全体に展開しようという構想を打ち出した時は相当勇気のいることであったに違いない。それを実行したカルガリーのプラス15システム関係者には改めて敬服せざるをえない。実施当初と同様に現在までのシステムを完成するまでには幾多の困難があったことは容易に想像できる。実施にあたっての解決策の一つとしてボーナスシステムによる誘導策は、システム完成に大きな役目を果たしたことは間違いない。ボーナスシステムの詳細は土地利用法に書かれているが、その中でも主な点は、プラス15をシステム化するのに必須なBridges や Lane Links を建物が建設される時点にに、その分も含めて建設すれば容積制限を緩和しようと言うものである。このことは、プラス15を進めるに当たってダウンタウンを高層化することにつながり、他の都市には見られない異常なまでの高層建築郡となるわけである。10年前のカルガリーのダウンタウン(写−5)と現在のものとを比較しても、この10年間でかなりの高層建築郡が建っていることが分かる。このダウンタウンの高層化は、当然ながら日影に影響を与えるわけであるが、カルガリー市の選択は日影より高層化を取ったのである。
 
写−5 写−6
 
3.システム開発

 プラス15システムの開発地域は図−3に示すようにダウンタウンのほぼ全域にわたっている。これは、A地区とB地区とに分かれている。

  A地区 : この部分はダウンタウンの中でも最も高密度に開発が進んで区域。この区域内における
         プラス15システムの基本形は1ブロック4Bridges で展開されている。
  B地区 : この部分はダウンタウンの中でもまだ開発があまり進んでいない区域。この区域における
         プラス15システムの基本形はまだ確立されていないが、今後の市の土地利用調査により
         決定される予定である。

  1984年8月現在の既設システムを図−4に示す。38箇所の橋(Bridges) (1988年現在40箇所)と8kmに及ぶ歩廊(Walkways)で結ばれ、連結部分(Lane Links)には多くのプラザやパブリックスペース(写−6)が配置されている。道路を跨いでいる少し大きな黒い部分は今後に予定されている部分であり、一方、その中でも丸い斜線で塗られている部分は、今現在予定はされているが、ある一定の期間が過ぎても建設されない場合には白紙の状態に戻すことになっているところである。
 
図−3
 
図−4
 
 また、ボーナス地区(図−5)は3つに分かれ、ボーナス内容については土地利用法の中で細かく述べられている。
 
図−5
 
4.プラス15システムの基本構成要素

 プラス15システムは、ダウンタウン全体の地上から15フィート(4.75 m)レベルでの歩行者のためのネットワークであり、個々のBridges を意味しているのではない。しかし、この全体ネットワークを形成するためにはこのBridgeは必須なものであり、一般的には、道路上にかけられたこのBridges を想像しがちである。

 プラス15システムの基本構成は、次の6つの要素からなっている。

  @ 橋(Bridges) −−−−−公道の上をまたいでいる橋で、我々が通常スカイウェイと呼んでいるもの

  橋(Bridges)の作り方にはいろいろな種類があるが、カルガリーでは一定の基準を満足すればデザインは自由であるため、次の2種類が多く見られた。

      a)フィーレンデール構造
 
図−6 写−7
 
      b)トラス構造
 
図−7 写−8
 

  これらは、それぞれに長所短所を持っている。両方とも構造的には、Bridges 全体として大きな剛性となるため、大きな支間をとることができるが、その反面、フィーレンデール構造については垂直材が太くなり、トラス構造については斜材が壁面部に出てくるため開放感が欠けてしまう。
 また、これらの全てのBridges には写−9のようにガラスの下部から温風がでており、Bridges 内が非常に温かいと同時に、結露状態になってガラス面が曇っているものは一箇所も見られなかった。乾燥空気でコントロールしていることもあり、大変に快適な空間である。

  A 歩廊(Walkways)−−−通常建物内に設置されるもの(写−10)
  B 階段、エスカレーター、エレベーター−−−地上とプラス15を結ぶもの(写−11、12)
  C 連結部(LaneLinks)−−ブロック内の歩廊相互を結ぶもの
  D オープンスペース−−−プラス15レベルに配置される戸外及び建物内のオープンスペース
                (写−13)
  E 一連の案内板(Signage)(写−14)

 
−9 写−10
 
−11 写−12
 
−13 写−14
 

 A地区でのプラス15の基本形は図−8のように4つの半分の橋(Bridges) 、3つの連結部(Lane Links)が設けられる。しかし、これはあくまでも基本形であって、条件によっては橋及び連結部の数は変わってくる。ボーナス制度を採用する場合は敷地面積によってその数が決められる。例えば、

 
敷地面積(u) 橋の数 ボーナス基準 連結部 ボーナス基準

3020以下
3020をこえ6040以下
6040をこえ9060以下
9060をこえる場合




Bridgeフロア
ー面積の20




Lane Links面
積の12.5倍

 
となる。同じ敷地面積であったとしても、他の条件で変形パターンも認められる。図−9は、建物周囲の景色を見せるためにあえて歩廊(Walkways)の一つを建物周囲に沿って計画されたものである。図−10については、図上の北側に接続する建物の再開発が未定であるために、既設の建物と現段階で結ぼうとする例である。また、図−11は、歩行者の通行量が非常に多い地区で、かつ、ボーナスを多く得ようとするために考えられた変形パターンである。
 プラス15システムは、これらのパターンをそれぞれの地区の条件に合わせて全体ネットワークを形成しようとするものである
 
−8 −9
 
−10 −11
 
5.プラス15建設分担金規定

 プラス15を促進するためには資金が必要となる。これはプラス15資金と言われるものである。この資金は、ダウンタウンにプラス15を建設することによって、間接的に建物の有効利用が図られたことに対する還元の意味でプラス15建設分担金を取り、この財源でその一部が賄われる。プラス15基金はプラス15システムを構成している、橋(Bridges) 、連結部(LaneLinks)、歩廊(Walkways)、階段等、案内標識やオープンスペースの建設あるいはその改良のために使用され、行政局がその支出の許可を与える。
  このプラス15建設分担金徴収方法として一定の規定が設けられ、これがプラス15建設分担金規定である。徴収の有無の内容は、土地利用法(The Land Use By-Law) にうたわれているが、細かな内容は「+15Policy」で取り扱われる。
 徴収計算方法の考え方は、ダウンタウンをブロック毎に基本容積率を決定し(例、700%)その容積に対して一定の徴収額を設定する。この設定額に対して、そのブロック内の敷地に建設される容積に比例してプラス15建設分担金を納めることになる。従って、ダウンタウン全体を市が設定した基本容積率いっぱいに建設される再開発がもし存在するなら、市の考えていた通りの建設分担金を徴収でき、さらに一層のスカイウェイシステム拡大に貢献できることになる。しかし、このような再開発は現実には大変難しいために、これに並行してボーナスシステムが設けられている。基本容積率以上の容積で建設したい場合には基本容積をこえた部分がボーナスとなる。しかし、この場合には、定められた形式のプラス15橋(Bridges) と連結部(Lane Links)を建設することが条件となる。いわゆる、ボーナスシステムを併用することにより、市としてはプラス15基金を使用せずにスカイウェイネットワークを促進することができるわけである。


6.プラス15システム標準建設分担額算定式

 分担金内訳計算は、ある定まった計算式で求められる。この計算に用いられる価格は、A地区(図−3)において代表的な地区で図−8に示すような4つの橋(Bridges) と3つの連結部(LaneLinks)を含んだ基本形を基にして計算される。これらのBridges とLaneLinksの幅は4.5mで計算される(階段については2m)。なお、駐車場の面積については、この計算式からは除外される。

  算定式は次のとおりである。

    X=[C×SA/BA{(0.75×DD*/BD)+0.25}]−−−−(1)式
     X  : プラス15建設分担額
     C  : 標準地区の建設費
     SA : 開発敷地面積
     BA : 開発地区面積
     DD*: 実施開発容積率(BDをこえる場合はDD*=BD)
     BD : 基本容積率  (ボーナス無しの許容最大容積率)

 この式の最初の部分(C×SA/BA)は代表的な地区でのプラス15システム開発費をその地区面積に対する敷地面積で按分している。次の部分{(0.75×DD*/BD)+0.25}は、対象敷地の上に建設される容積率によって分担額を調整している。従って、基本容積率いっぱいに、あるいは、それをこえて建設された場合には、その開発敷地に割当てられた分担金のすべてを納めることになる。しかし、その逆に基本容積率以下の場合には、その容積率の割合に応じて減じることになる。そのため、25%については容積率の割合に関係なく徴収し、75%については容積率の割合に応じて算定されるように構成されている。

 次に代表的な地区の実際の計算例を示す。

 
図−12 図−13
 

 ● 基本データ算出

  図−8の基本形を基に算出するBridges の幅員は15フィート、長さ80フィートとし、Lane Linksの幅員も15フィート、長さ20フィートとする。それぞれの単位面積当りの単価は$225と$148.50 になっている。

  @ その地区のプラス15建設費 = C
     4,1/2 Bridges =4×1/2×15’×80’×$225=$540,000
     3 Lane Links   =3×15'×20'×$148.50     =$133,650
       Total                          =$673,650
  A 敷地面積 =SA=250'×130'        32,500(平方フィート)
  B  地区面積 =BA=500'×(280'-20') = 130,000(平方フィート)

    これらの基本データを(1)式に代入してプラス15建設分担額を算出すると次のようになる。
      C =$673,650              BD =7倍
      SA=   32,500               DD =9倍
      BA=  130,000              DD*=7倍
      X =[$673,650×32,500/13000{( 0.75× 7/7)+0.25}]
      X =[$673,650×0.25{(0.75×1)+0.25}]
      X =$168,413

  この例の場合、この地区の基本容積率は7倍であるのに実際の建物の容積率は9倍になっている(ボーナス付き)。
  しかし、分担額算定の場合は7倍として計算され、結果的に168,413 カナダドルを市に納めることになる。

   次に、この地区の基本容積率よりも実際の建物の容積率が低い場合を例としてあげる。
      C =$673,650              BD =7倍
      SA=   32,500               DD =4倍
      BA=  130,000              DD*=4倍
      X =[$673,650×32,500/13000{( 0.75× 4/7)+0.25}]
      X =[$673,650×0.25{(0.428+0.25}]
      X =[$168,413×0.678]
      X =$114,184

  ● 変形式

 これは新築に対してではなく既設の増築に対して追加分として採用され、次の式となる。

    X=[C×SA/BA{(0.75×(DND*−DED*)/BD}]−−−−(2)式
    X   : プラス15建設分担額
    C   : 標準地区の建設費
    SA  : 開発敷地面積
    BA  : 開発地区面積
    DND*: 新実施開発容積率  (BDをこえる場合はDND*=BD)
    DED*: 既設開発部分の容積率(BDをこえる場合はDED*=BD)
    BD  : 基本容積率  (ボーナス無しの許容最大容積率)

 この式は、前述の式を見れば分かるように二重に徴収されるのを防ぐために敷地に対して固定の額である0. 25 が落ちている。

   C   =$673,650    DED =3倍(既設開発部分の実質容積率)
   SA  =   32,500    DED*=3倍
   BA  =  130,000    BD  =7倍
   DND  =9倍(新実施開発実質容積率)
   DND*=7倍
     X=[$673,650×32,500/13000{(0.75×(7-3)/7)]
     X=[$168,414×0.428]
     X=$72,081

7.システム運営

 @ 通行権等

 プラス15システムを実施するにあたっては民地に公共空地や公共歩廊を設けられることになるが、この部分については通行権等が設定される。

 A 治安維持

 公共部分への巡回はカルガリー警察の責任で行なわれるが、一階レベルの保安と同様にプラス15に隣接している民間部分の安全についてはそれそれの責任である。
 現実には、このスカイウェイシステムは良い面だけではない。車中心社会の中でのダウンタウンにおける歩行者空間ネットワークとしては大変に便利で快適なものである。しかし、その便利さ、快適さと表裏一体をなすものの一つに治安の問題がある。このネットワークの歩廊(Walkways)に隣接している銀行にとってはその警備が大変大きな問題となる。カルガリーでは、地上レベル、+15レベル、+30レベルのそれぞれのレベルでは機能分担が完全になされているため、+15レベルでは銀行は見つからないが、空間的には+15レベルと地上レベルは自由につながっているため、+15内での通行を自由にすることにより治安が大きな問題になってくる。写−15は、地上レベルに銀行があり、ガードマン(ウーマン?)が監視していた。銀行とは知らずに写真を撮ったら怒られてしまった。また、写−16のように、各店舗の内部は一晩中明りをつけたままにして、歩廊側に格子状のシャッターを付設しており、治安維持に務めながら景観にも配慮している様子が分かる。全体的には、店舗内部は電灯をつけっぱなしにしていると考えた方が良い。

 
写−15 写−16
 
  A 運営時間(検討中)

 運営時間は原則として24時間であるが、市のコーディネーターにより変更されることがある。
 事実、夜になると閉鎖されている部分が多くあった。従って、夜については歩行者ネットワークは一部になってしまう。写−17のようにその部分の営業曜日と時間がドアに記されている。C−Trainから降りて温かいプラス15に入ろうとしたが、ほとんどのドアは閉ざされていた。外の寒さは札幌のような寒さではなく、体の身までしみ込んでくる。こんな状態の時にドアが閉められていたため、再び地上レベルに降りて次の入口を捜したことを思い出す。これには大変がっかりした。一方、その時に大変良いものを発見した。各建物は閉められていても、建物の風除室部分は開いており暖房も入っているのである。外を歩いている人への配慮であろう。

 
写−17
 

 C 維持

 システムの維持の責任分担については開発者が市と周辺建築主との同意の基に決定される。基本的な内容は次のとおりである。

  a) 橋(Bridges) の建設者はその維持の責任を負う
  b) 市が建設した場合には、その維持は周辺建築主によって行なわれる

8.システム設計

 プラス15システムの設計は、ある一定の基準を満足されれば自由である。その基準は基本的には、土地利用法、アルバータ州の建築法、市の要綱であるが、これらの要点をまとめたものが「+15 Consolidation of Design Guidelines 」であり、市に行くともらえる。内容は次のもので構成されている。

       @  Land Use By-law 2p80
       A  +15 Policy
       B  Downtown Handbook of Public Impovements
       C  Building Code Applications to +15
       D  Standard Developement Agreement
       E  Report on City of Calgary +15 Access Stairs ( Stewart,1985)

 主な内容は次のとおりである

 @ プラス15は、原則として地上より最小4.75 m(15フィート)のクリアランスを持つこと。
    但し、C−Trainの上部については最小6mのクリアランスを必要とする。

 A 歩廊(Walkways) 及び連結部(Lane Links)の表面の地上からの高さは最小5.5mとすること。
 B プラス15の最小有効幅は4.5m以上とすること。なお、歩行者の多い所は6m以上とすること。
    階段幅は2m以上とすること。

 C すべてのプラス15Bridges は全壁面の75%以上に透明ガラスを用いること。また、それはBridges
    の床面から0.5mより上2.5mの範囲にBridges の全長にわたって用いられること。

 D 傾斜を必要とする箇所については1/12以下とすること
 E すべてのプラス15を構成している、橋(Bridges) 、連結部(Lane Links)、歩廊(Walkways)や
    階段(Stairs)の照度については43ルックス以上とすること

 F 内部温度については、冬は7゜C以上とし、夏については27゜C以下に保持すること。
 G 床材料は、硬質なものを使用すること。