ラインバーンショッピングセンター

4.ラインバーンショッピングセンター

    地域        オランダ/ロッテルダム/ラインバーン地区
    タイプ      ショッピングモール形式
    地区面積    86ha
    事業段階    完了(1953)
    交通経路    市中心部

(概要)
・戦災復興を契機に、歩行者専用路化した商店街空間とその後側の住空間が形成されている。
・面的広がりを持つショッピングモールの先駆けとなったのが、ロッテルダムのラインバーンで、世界最初の歩行者専用道路
 と言われている。ここは、中心部、南北の大通りクーリンゲル通りの裏にあり、中央駅の駅前のウ゛ェーナ通りとビジネス
 街ウェストブラークを南北に結んでいる。メインストリートの両側には、アーケードのある商店街や百貨店が連なり、劇場
 や映画館、銀行もある。すぐ西側には八階建の高層住宅も数棟建てられている。

・ヨーロッパ最初の歩行者天国商店街
・第二次世界大戦中、ロッテルダム市の都心部空襲により壊滅したが、この被災都心部内に86haにわたる地域に対し、業
 務、商業、住居機能を含む新しい都市計画が策定された。

・新しい型のショッピング・センターを提示した。
・歩・車分離が徹底して行われている。
・この地区計画は市当局が事前に全敷地を取得していたので思い通りの計画を立てることができた。

(土地所有)
・バンデロー:組合の会長を勤めている。
・2つの会がある。@商店主会(バンデロー) A地主会(オーナー)
・バンデロー氏は商店主会の会長。
・商店主会の10%は地主90%は借家。
・ラインバーンショピングセンターが始まった時は、80%の人が店を持っていて営業していたが、だんだん店を売るように
 なり、今では9割が借りて営業している。


(開発経緯)
・1953年に開始した。この街の中心部は戦争により破壊されていたため、再開発ということで初めての歩行者天国のショ
 ッピングセンターを造ろうということになった。

・造った時の考え方は、歩行者天国で、オープンな場所にして高層建築を建てない。その理由は、ロッテルダムは将来、高層
 建築群の街になるであろうから、人間らしいスペースを確保していた方が良いであろうということからです。

 
-09 -09:ラインバーン地区
   
図-10:ラインバーン・ショッピングセンター -11
   
-12:ラインバーン・ショッピングセンター 拡大図
 
(再開発計画)
・このショッピングセンターも老朽化して来ているので、5年前から再開発計画を立ててきた。
・不動産を持っている地権者が55人いる。計画をまとめるには多すぎる。
・最初にやらなければならないのは、会員を集めて団結を図ること。
・団結するのに(結集)2年かかった。その次に、このプランを市役所に承認してもらわなければならない。
・市との話合いの中で地権者がいくらお金を出せるかということが新しい問題として上がってきた。
・再開発を実施する場合資金が必要であるが、市としてはお金がないので、組合の方で出して欲しいとの提案があった。
 しかし、古くから営業している人で利益を得ている店はいいのですが、購入したばかりのところはあまり利益を得てい
 ないので、この場合大きな問題となってきた。

・今まで4つのプランを立ててきた。全て許可されなかった。
・市側は美観をそこねるという理由、組合側は資金ぐりが立たないという理由。
・今は5つ目のプランを作成した。
・組合側で建築設計事務所に委託しプランをまとめ、市との交渉も行ってもらっている。バンデロー氏は商店主会の委員
 もやっている。

・この資金は、10年先の賃貸料の5〜10%をつぎ込んでいる(再開発プランを作成しようとしている)。
・ここの気候は、北海道と比べるとそれほど厳しくはないため、オープンモールで造られている。空があり、木があるた
 め、オープンモールの場合利用者は安心をする。


(消費需要)
・ロッテルダムは急成長をしており、この5年間に約4万の新しい労働者が入ってくる予定がある。この人達の購買を促
 進するためには、このショッピングセンターの質を上げる必要がある。質を上げることにより、セールスの単価を上げ
 る。20%くらいがターゲットにしている。しかし、20%増の売上げを目標にしているが、断言して言うことは難し
 い。


(組織)
・このショッピングセンターを作った時は、先を見通していなく、従って、ショッピングセンターの全体をマネージメン
 トする組織がなかった。今度行う時は、商店主と地主の方から少しずつお金を出してもらって、全体を管理する事務所
 を作っていく計画をしている。


(暖房)
・商店の暖房は、ゴミ焼却炉から出る排熱を供給企業から一括熱を買い入れている。1953年から行っており、契約が
 その当時から引き継いでいるため、大変有利な金額で利用している。

・新しい組織では配置まで管理する。
・今現在なら、宝石店をTシャツの店に変えようと思ったらすぐにできるが、新しい組織ができるとこれも管理され制限
 される。

・ゲームセンターのようなものも、現在は道徳に訴えてやめてもらうしかない。しかし、新しい組織になれば規制される。

(市役所との関わり合い)
・市役所は600人いるが、ロッテルダムは多くの開発等があり、非常に忙しい。しかし、最近の5カ月で協調行動がと
 れるようになってきた。・局長がこの地区を理解するようになってきたため、市から協力が得られるようになっている。

・開発そのものには、お金を出してもらえないが、インフラという5年先の道路計画があったとすると、それを今年実施
 するといったように時期を早めてくれる(協力)。

・アーケードが付くため、道路についている街路灯がいらなくなる。その代わりとして花等を植えてくれる。
・地下高騰の話もある。低層は無謀である。
・6階建てのプランもあったが、市の許可が下りなかった。
・これはやむをえぬという反面、だからユニークであるということで見直そうとしている。

(人間的な空間)
・庇の下をあるいていると、周りの高い建物が見えるため、人間の小ささを感ずることができ、人間をあらためて見直す
 ことができるのではないか。

・大きなショッピングセンターでは、人間が外敵要因からコントロールされている。しかし、ここでは人間が人間でいら
 れる。20年後、このことが人間にとって非常に貴重なものであるということが分かってくるのではないかと思う。

・クローズした案もあったが、これならどこにでもあるショッピングセンターと何も変わらないのではないか。また、オ
 ープンにすることにより、周辺地域と溶け込むことができるのではないか。

・マーケットリサーチは2年毎にやっているが、プランを提示してどうかということは行っていない。

(売上げ)
・冬の方が売上が上がる。
・クリスマス、11月〜12月が一番売上が良い。1、2、3月はちょっと落ちてくる。4月が最悪、5月はまた上がる。
 9月くらいにまた上がる。


(気候)
・一番寒いのは−10℃。それほどひどくない。これは外に出られない寒さではない。

(自転車)
・冬でも自転車は乗る。雪があって転ぶが、それでも乗る。オランダは、世界的にもユニークな自転車道路を持っている。
 従って、自転車専用の信号がある。

・国民が1300万人いるが、自転車は1400万台ある。国民の数より自転車の数の方が多い。
・貧しい人だけが自転車に乗るのではなく、銀行の頭取等いろいろな階層の人が乗る。
・ここは、自転車がなければ交通渋滞がもっとひどくなっていたのではないかと思います。

(賃貸料)
・賃貸料は年間750ドル/u、10万円/u。日本としては安いがこちらでは高い。
・店を借りる場合、120uの土地を借りると20〜25万ギルダー、2000万円かかる(年間)。
・この外に光熱費がかかるため高い。
・建設費500〜100ギルダー、35000〜70000円/m3。
 
世界最初の歩行者天国
-055:ロッテルダム ラインバーンショッピングセンター -056:ロッテルダムラインバーンショッピングセンター
   
人の数より自転車の数の方が多い国
-057:ロッテルダム ラインバーンショッピングセンター -058:ロッテルダム 自転車道
   
車より自転車が優先の国 日本では自転車と呼びづらいもの
車輪の中の輪は飾りと思われる
-059:ロッテルダム 自転車用信号 -060:ロッテルダム 自転車