4.建築物
建物で印象に残るのは、巨大さから言うとフランスのラ・デファンスの建物群です。実に見事な建物郡です。若手の建築家ならじっとしていられないでしょう。この様な地域開発がいいのかどうかを抜きにすれば、楽しいアートの世界に思えてきます。その中でも新凱旋門の巨大さには目を見張ります。大きすぎてカメラの視界に入り切れないのに苦労します。大きさは中途半端ではありません。C.N.I.T.のコンクリートシェルも巨大なのですが、全体の建物群が巨大すぎてそれほど巨大であるとは感じません。しかも、この地区は人口地盤の上にあります。
日本的感覚では、なかなかできないのが、建物を絵画のキャンパス代わりに使用したような住宅棟です。芸術の国フランスならではの作品と言えます。
フランスは、面白いと言うか変わった建物が多く、レアル地区にあるポンピドーセンターやフォーラム・デ・アルは、周辺地区の環境と異なるというだけでなく、建物単体としても非常に変わっています。ポンピドーセンターは、内部空間を重視したせいか、外側に設備等の配管やエレベーター、エスカレーターを全て出してしまいました。「建築の美とは何か」を問うための良い材料になりそうです。
建物の色彩や形で興味深かったのは、スウェーデンストックホルムの国鉄セードラ地区の新しい住宅団地です。色の使い方が上手で羨ましい感じがします。また、住宅棟の中を道路が通っているのか、道路の上に住宅を造るようにしたのか分かりませんが、面白い試みであると思われます。また、この団地は、国鉄の路線の上に跨いで住宅が建てられるという珍しい試みをしています。国鉄からの振動を少なくするために、基礎部分はゴムによる免震構造となっています。このゴムも、いずれは駄目になると思われますが、その時には周囲を支えてゴムを抜き取り、その後、ゴムを凍らせて体積を小さくした状態で挿入し、常温にして元の状態に戻らせる等新しい試みが随所に見られます。
これに似た様な住宅団地がドイツのベルリンの高速道路上の住宅開発です。東西ドイツの統合により、このような住宅開発の必要性は今後無いということでありましたが、見事な高速道路を跨ぐ住宅団地でありました。北海道では、この様な開発は当面有り得ないと思われますが、建築技術については学ぶべきものが多くあります。
建築施工現場については、ヨーロッパはPC工法が進み、ほとんどの工程がプレキャストで行われているのには驚きました。実際にその内容まで詳しく調査することができなかったのですが、今後の北海道の建築施工法を考えるに当たっては学べきものが多くあります。ヨーロッパは、地震が無いせいか、柱は細く、鉄筋も実に細い。現場の施工状況ものんびりしている感じを受けますし、また、日本の様に仕上げに対してそれほどうるさくないらしい。日本なら即、手直しが入るような物件が多く見られました。
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手前の建物は世界最大のコンクリートシェルで造られている
C.N.I.T. |
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新凱旋門 |
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写-028:フランス ラ・デファンス |
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写-029:フランス ラ・デファンス |
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建物を絵画のキャンパス代わりに使用している住宅棟 |
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写-030:フランス ラ・デファンス |
写-031:フランス パリ ポンピドーセンター |
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写-032:ポンピドーセンター裏側 |
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写-033:フランス パリ フォーラム・デ・アル |
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セードラ駅周辺の住宅 |
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セードラ駅周辺の住宅 |
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写-034:スウェーデン ストックホルム |
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写-035:スウェーデン ストックホルム |
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セードラ駅周辺の住宅 |
写-036:スウェーデン ストックホルム |
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図-02:セードラ地区横断図 |
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図-03:基礎断面図 |
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高速道路上の住宅団地 |
全てプレキャストで行われている |
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写-037:ドイツ ベルリン |
写-038:オランダ ロッテルダムの建築現場 |
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構造が簡単 |
写-039:ドイツ ハンブルグの建築現場 |
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